電子の国のらのべ図書館だより

ラノベの感想など、ゆるゆる書いていきます。

『デュラララ!!』1~6(あるいは、本山らのさんへのラブレター)

 

 『デュラララ!!』(著:成田良悟 イラスト:ヤスダスズヒト 電撃文庫

 

あらすじ

これは歪んだ物語。 歪んだ恋の、物語。

「楽しみだなあ。楽しみだなあ。楽しみだなあ。この街は俺の知らない事がまだまだまだまだ溢れ、生まれ、消えていく。これだから人間の集まる街は離れられない! 人、ラブ! 俺は人間が好きだ! 愛してる!」 東京・池袋。そこにはキレた奴らが集う。非日常に憧れる少年、喧嘩上等のチンピラ、ストーカーもどきの電波娘、趣味で情報屋を営む青年、ヤバイ患者専門の闇医者、魔物に魅せられた高校生、そして漆黒のバイクを駆る“首なしライダー”。 そんな彼らが繰り広げる物語は痛快な程マトモじゃない。だが、彼らは歪んでいるけれども――恋だってするのだ。

 

 本山らのさん、お誕生日おめでとうございます!!!!!

 

私はらのちゃんのことが好きで、とっても好きで、これまでファンノベルを書いたり、動画を作ったり、らのちゃんの誕生日や活動一周年記念日などのアニバーサリーのタイミングでは色々なことをしてきました。

しかし、ふと気づいたのです。

ラノベ読みにとって一番うれしいのって、自分が大好きな作品を誰かが読んでくれて、楽しんでくれて、その作品の感想をくれることなのでは……? と。

 

そこで、『デュラララ!!』を遅ればせながら読んでみたのですが――

これめっちゃ面白いですねっ!!!

いや知ってたけど。知ってたけど!!!

 

実は、デュラララを初めて読んだのは今から十年ほど前、中学生の頃でした。

当時は丁度アニメ第一期が放送されており、デュラララは大ブームに。私もその波に乗って3巻まで購入・読了していました。

その時からこの作品が面白いということは分かっていたのですが、続きを読むタイミングを失ってしまったまま、ここまで来てしまっていたのです。

 

3巻までは既読ということで、今回4巻から読み始めたのですが、忘れてしまっている設定も多々あり、家事や食事の時間にアニメ第1期(全24話)の視聴、それ以外の時間で原作4巻~6巻を読むという、デュラララ漬の週末を過ごしました。

 

さて、読んでみての感想ですが、先述の通りめちゃめちゃ面白かったです。なんでもっと早く読まなかったのか……!

以下、面白かったところを書いていきます。(※若干のネタバレを含みます)

 

  • イカれた、最高に魅力的な登場人物たち

新羅とセルティが、尊い……!

いやぁ、十年前からセルティが好きで、だからここ二人の関係性も元々好きではあったんですが、この年になって岸谷新羅の魅力に気づきました。新羅、一緒に暮らす恋人としてめちゃくちゃよくない……?
新羅はセルティのことが大好きで、それをいつでも全力でアピールしてるじゃないですか。まずそこがいい。セルティが照れ屋なので、二人のバランスがものすごくいいと思うんですね。
それに加えて、新羅って、「セルティと一緒にいられれば幸せ!」って感じじゃないですか。全然不機嫌にならなくて。一緒に暮らす上で、それってめちゃくちゃ重要だと思うんですよ。

今回読んだ4~6巻の中で一番二人の尊さに「あ~~~~~(嬉)」ってなったのは、100万円を落として落ち込むセルティを新羅が慰める場面なんですけど、

『ありがとな、新羅。でも今はそんな気分じゃないから調子にのるな』

というセルティに対する

「あはは、じゃあ、そんな気分になった時を楽しみにしておくよ」

というこの軽やかな返し! ここにまずきゅんときて、その直後、

『仕事が入った。ちょっと行ってくるよ』

「大丈夫かい 流石に今日くらいは様子を見た方が……」

『運び屋の仕事は信頼が大事だからな。安心しろ、お前に迷惑はかけない』

「迷惑ぐらいかけてもいいよ。家族なんだからさ、そのぐらいどうって事ない」

これ!!!!! 

セルティは人外で、とっても強くて、でも仕事熱心で真面目で、好きな人に迷惑をかけたくないって思ういじらしさというか、遠慮するようなところもあって。

そういう、一歩引こうとしているところに、ぐっと踏み込んで、笑いかけて安心させてくれるような、そういう優しさを新羅はね、発揮するわけですね。尊い……。

 

 と、ここまで新羅とセルティの尊さについて語ってきたわけですが、それはそれとして……セルティと静雄が仲良いの、めっちゃよくないですか?

二人とも作中での戦闘力は一二を争う最強キャラなんですけど、二人でいるとのんびりした空気が流れてて、和むというか。キレてない、静雄本来の穏やかな部分が見られるというか。

それに、二人の信頼関係がめちゃくちゃ厚いんですよね。それを特に感じたのが6巻の静雄が茜ちゃんを助けるシーンなんですけど。

静雄が茜ちゃんを抱えたまま、トラックの荷台から飛び出すじゃないですか、それで、セルティが影のネットで受け止めるんですね。

これが、なんかすごい、あぁ、静雄はセルティのこと信頼してるんだなって思って。

 静雄は飛び出す直前にセルティが後ろにいることを確認しているので、考えなしに飛んだわけじゃないと思うんですよ。「こいつなら助けてくれるだろ」っていう考えがあって、でもその考えが頭の中ではっきりと像を結ぶ前に、もう跳躍できちゃうような、深い信頼関係があったわけで。男女の恋愛感情を一切挟まない友情と信頼、すごく、いい。

 

このシーン、静雄とセルティの信頼が見えるのも熱いんですけど、何よりも静雄の成長が見られてすっごくよかったです。あの静雄が! 怒りよりも! 女の子を助けるのを優先した! それも自分を殺そうとしてる女の子を!

はぁ、平和島静雄……すきだ……

p355の挿絵も非常にいいですね。静雄の自然な笑み。

 

それ以外のキャラも、ドタチンはかっこいいし、サイモンはギャップやばいし、遊馬崎と狩沢も普段はおもしろお兄さんとお姉さんなのに、普通に火とかつけちゃうネジの飛び具合がとても好きだし、もう語りだしたらきりがないくらい全員魅力的で、個性的で。

こんなに登場人物が多いのに読んでて混乱しない! 全員イカれてるからみてて飽きない! 楽しい! というところが、この作品の大きな特長なのかなと思いました。

 

  • 歪であっても、化け物であっても、誰かを愛していいし、幸せになっていい。

「歪んだ恋の、物語」っていうキャッチコピーがいいですよね。

この作品に出てくる登場人物は、みんなどこか歪んでいて、でも、とても生き生きとしていて。私たち読者も、登場人物ほどじゃないにせよどこかしら人と違う部分ってあると思うので、池袋の街で生き生きと過ごす彼らを見ることで、読者である私も、幸せに生きていいんだなって、自然に思うことができました。

 

  • 構成と画作りの上手さ

 たくさんの思惑が網のように絡み合い、一つに収束していくのは、読んでて気持ちがいいです。まさしく群像劇! といった感じで、成田先生の手腕が見事に発揮されているなと思いました。4巻終盤で最初の100万円が新羅とセルティの元に戻ってくるあたりとか、とても気持ちよかったです。

また、画作りがめちゃくちゃ上手い、というのも今回読んでて感じました。

池袋という、現実にある見慣れた街でできる面白いことが、全力で行われているな、という印象です。車をサッカーボールみたいに蹴り転がしたり、正臣・帝人・杏里の三人が、それぞれ黄・青・赤が象徴的な色になってたりと、視覚的な演出が上手いな、と思いました。

 

  •  続きが気になる仕掛け

 本のラストに「ネクストプロローグ」を置くことで、これからどうなっちゃうんだろう、と先が気になる作りになってるのもいいですね。おかげで手を止めることなく、どんどん読み進められました!

また、6巻は帝人がついに覚醒。臨也が刺されるなど、続きが気になる要素がてんこ盛り。らのちゃんに感想文を捧げるため、と今回十年ぶりに手に取ったわけですが、続きが気になって仕方ないので、7巻以降もがんがん読み進めていきたいです。

 

らのちゃんのおかげで、とっても面白い作品に、十年ぶりに手を伸ばすことができました。らのちゃんがいなければ、私がデュラララの4巻以降を読むことはなかったと思います。素敵な作品を読むきっかけをくれてありがとうございました! 

そして改めて、お誕生日おめでとうございます!

 

bookwalker.jp